住民税は、原則、特別徴収という形で毎月の給与から差し引かれています。
しかし、その具体的なしくみや流れについては、詳しく知らないという方も多いでしょう。
そこで今回は、住民税の特別徴収について、制度の概要を解説します。
併せて、納付した住民税が、どのようなことに使われているのかも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
住民税の特別徴収のしくみ
そもそも住民税とは、それぞれの地方自治体の住民であることに対して課税される税金です。
「生活に身近な行政サービスの費用を住民も負担する」という趣旨のもので、「地域の会費」と言い換えてもよいでしょう。
サラリーマンなどの給与所得者は、住民税として、従業員個人の所得に応じて課税される「所得割」と、定額で課税される「均等割」を合わせた金額を支払う必要があります。このうち「所得割」は、月々の給与をもとに計算されているわけではなく、前年1月から12月までの所得に課税されています。
そして、住民税の特別徴収とは、本来、従業員一人ひとりが納付すべき税金を、企業が代わりに給与から差し引き、各区市町村へ納付するというものです。
具体的には、当年の1月1日に住民票を置いていた区市町村から企業へ、当年6月から翌年5月までの納付額が通知されます。
そして、企業はその通知書どおりに従業員の毎月の給与から住民税を引き、翌月10日までに代行納付するという流れです。
なお、新入職員の場合は、基準となる前年1月から12月までの所得がないため、2年目から課税されることになります。
徴収された住民税の使い道は?
住民税は、地方自治体の住民であることに対する税金であるため、その使い道は自治体によってさまざまです。
例えば、東京都の場合、令和3年度の一般会計当初予算を見ると、「公債費・税連動経費」「福祉と保健」「教育と文化」といった歳出項目が多くを占めています。
都が各区市町村に交付するお金や、高齢者・子育て支援、学校や教育全般に関する支出などに充てられていることがわかるでしょう。
東京都を含め、それぞれの自治体が、住民一人ひとりの生活を支えるために住民税を活用しています。